「脳のトリセツ」は作業療法士の菅原洋平さんが書いた本です。
作業療法士は、例えば脳梗塞の患者さんのリハビリで活躍します。失った機能の回復、つまりダメになった脳回路の代わりに新しい回路を作る。この手助けをするのです。
この本では子育てについてほとんど触れていませんが、子育てにも通じるものがあります。
むしろ、下手な子育て本よりもわかりやすく、説得力があります。
どのように子育てに役に立つのかをお話しします。前回の脳のトリセツの記事に対応して説明します。
前回の記事です。
脳を無駄遣い。。。かなりしている
「脳は初め無駄使いが多い。能力が高くなると、使われる部位が限定され、脳は使われなくなる」
これ、子供にまさに当てはまる内容です。
子供の動きを見ていると、本当によく動き、無駄な動きをします。話ができるようになっても、あちらこちらに話が飛んでいきます。
体力をとっておく、という発想もないので、目一杯遊んで、突然バタン、と疲れて寝てしまうこともよくあります。
これは、脳が無駄遣いをしている段階ですね。だんだん成長していくと、効率よくなっていくわけです。
私は最初の頃子供の行動にどうしてもイライラしてしまうことも多かったのです。。脳の仕組みを理解してからはなぜ子供がそういう行動をとるのか、少しわかるようになりました。
子供に少し寄り添えるようになったと思います。
自分のできることをやるのが子供は特に大事
脳が力を発揮する鉄則 エラーレス・ラーニング の話を前回しました。
これ、子供に特に有効です。
自分の子供に実践するとびっくりするほど効果ありでした。
エラーレス・ラーニングは、できる課題を与えて、少しずつチャレンジしていくようにしていくことです。
50%は当然できること、残りの50%はやってみないとできるか、わからない状況。これをハーフタスクと言いました。この状態が大人だけでなく、子供も最も力を発揮するのです。
子供も全て経験済だとつまらなくて飽きます。大人よりも我慢がないのですぐに飽きます。
例えば、鉛筆で線と線をつなぐテキストをやらせると、しばらくやると飽きます。で最後のページまで進みません。
逆に全て未経験だとストレスだし、何より大人より恐怖心が強いのでめちゃめちゃ避けます。
公園の滑り台も、初めてだと怖くて全くやりたがりません。
ここでハーフタスクを設定することが大事なわけです。
テキストの例だと少し複雑な迷路にしてやらせたり、集中してやる時間を長くしてみよう、と別の観点での挑戦を促したりすると、新たな刺激も加わってやる気が出ます。
滑り台が怖いなら、もっと高さの低い滑り台から始めるとか、親が一緒に滑るとか、もっと子供が簡単にできそうなところに戻ってあげればいいのです。
『いつも』と『ばっかり』は脳を無駄遣いする
子供にも感情的な言葉は呟かないことが大事です!
褒めてあげる時は、できるだけ具体的な言葉で表現しましょう。
ご飯を全て食べれなくても、「今日はここまで食べられたね。」とか具体的に少しずつ成長があることを評価すると、子供はやる気が出ます。
ハーフタスクが発揮される+それを具体的に評価され、次のステップに向かうことができる、というわけです。
「残してばっかり!」「全然食べてない!」など、感情的な評価をしてしまうと、ハーフタスクにならず、やってること全て否定されてしまうため、全く成果が出ないのです。
情報量が多いと能力が発揮できない
認知症の人は、食事をテーブルに何種類も出すと食べないとお話ししました。
子供にもドンピシャで当てはまります。
食事の量が多かったり、種類が多いと、情報量が多いから、処理できないのです。食事に一度に出す品数を減らしたり、量を減らすと食べることが多いです。
好き嫌いで食べないときもありますが、これはハーフタスクを使うと有効なこともあります。
例えば、キクラゲを食べないとき、ワカメに似ているよ、まずは少しでいいから味見してみたら?という感じです。
このときは食べれないかもしれませんが、何回かチャレンジすると食べられるようになる可能性があります!
まとめ
1.脳の無駄遣い。。かなりしている。
2.自分のできることをやるのが子供は特に大事
3.『いつも』と『ばっかり』は脳を無駄遣いする
4.情報量が多いと能力が発揮できない
子育て本も読みましたが、どうしてもスッと頭に入ってこないというか、納得がいかないところがありました。経験だけで書いていて、理論的な裏付けがないことが多かったからです。
脳のトリセツを理論的裏付け、さらに作業療法という違う分野での話ということですごく納得がいきました。
みなさんも、何かに煮詰まったり、うまくいかないときに、違う視点から眺めてみるようにしてみてはいかがでしょうか。
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